摂食障害について診断・治療解説(概論)
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- čas přidán 12. 01. 2022
- 01:04 摂食障害とは
04:37 食べて吐くこと
06:15 入院
07:58 通院治療
08:40 カウンセリング/心理療法で行うこと
16:14 薬物治療
17:02 治療は年単位
今日は「摂食障害の診断・治療」についてざっくり語ります。
「摂食障害」は聞いたことのある人も多いと思います。
精神科の病気の中ではメジャーではないでしょうか。
太ることが怖くて食べられなくなってしまう、食べても吐いてしまう、という病気です。
精神科の病気の中でも割とメジャーですが、実際、摂食障害の患者さんはそれほど多くはありません。
うつ病や不安障害に比べるとはるかに少ない病気です。
■摂食障害とは
摂食障害は大きく分けるとこちらの3つになります。
・神経性やせ症(制限/過食・排出)
・神経性過食症
・過食性障害
・神経性やせ症
神経性やせ症はオーソドックスな摂食障害です。非常にやせています。
成長曲線から見て有意にやせている。
BMI(体重/身長の2乗)が17を切るくらいです。
BMIは22が理想とされますので、理想体重の75%以下になります。
太ることが怖い、食べ物に対する恐怖感、ボディイメージの歪み、痩せているのにそう思えない。
皆が食べた方が良いと言っているのに、それは間違いだと思い頑なに拒否する。
このようなものを「神経性やせ症」と言います。
また、神経性やせ症は2つに分けられます。
制限型:まったく食べない
過食・排出型:食べた後に吐く
・神経性過食症
「神経性やせ症」から徐々に良くなって「神経性過食症」になることもあれば、初めから「神経性過食症」であることもあります。
「やせ」がないパターンです。
過食嘔吐が多く、それが中心の生活になってしまっています。
どんな時間でも食べてしまう、仕事が終わったらコンビニで大量の食べ物を買わないと気が済まない、たくさん食べてトイレで吐かないと気が済まないというものです。
給料の大部分を食べ物に費やし、たくさん食べては吐くということを繰り返します。
・過食性障害
「吐き」がなくなると「過食性障害」と言います。
すごくたくさん食べてしまい、食べるのをやめられません。やめられないことに強い自己嫌悪があります。
早く食べて、満腹になっても食べます。苦しいくらいに食べないと気が済みません。
また、自分がいっぱい食べることが恥ずかしいので、人と食べることができません。
そして食べ終わった後に、苦しくなってお腹を抱え、すごく後悔して罪悪感を感じます。
「神経性やせ症」→「神経性過食症」→「過食性障害」と順に良くなっていくこともあれば、神経性やせ症から良くなっていくこともありますが、大きく分けるとこの3つです。
割と混在していて、この3つを行き来することもあります。
■食べて吐くこと
吐くので「吐きダコ」が手の甲にできてしまったり、歯が胃酸で溶けてしまうこともあります。
太るのが嫌で、お腹の中に少しでも残っているのも嫌なので、胃酸を出さないといけない。
また、ウッとえずくので、胃と食道のところに傷が入ってしまうこともあり、逆流性食道炎にもなりやすかったりもします。
よく大食いの人で実は摂食障害だったと公表する人もいます。
バレリーナ、マラソン選手など、やせていることで競技がうまくいく、体重制限を強いるスポーツをやる人たちが、「我慢する」と「食べる」を繰り返していると、食欲のコントロールができなくなり摂食障害になってしまうこともあります。
■入院治療
摂食障害がひどくなると、入院適応になります。
なぜ入院が必要かというと、やせればやせるほど脳に栄養がいかなくなり、脳が正常な判断ができなくなってしまうためです。
「もう治療しなくても良いのではないか」
「やせていても大丈夫なのではないか」
などと思うのです。
やせていると変に元気だったりもするのでどんどん治療から遠ざかってしまい、そうすると骨はどんどんボロボロになり内臓はどんどん傷つくということになります。
そうなると入院になります。
あとは、食べられなくなってしまうのです。
胃も筋肉ですから、使っていないと食べられなくなってしまいますし、消化機能も落ちてしまうので、入院して栄養を入れないといけなくなることもあります。
・リフィーディング症候群
また、「食べられますし、これから治療をがんばります」と言っても、やせすぎてしまうと「リフィーディング症候群」と言って急激に栄養を入れると体に栄養が溜まりすぎてしまいます。
肺に水が溜まってしまったり、不整脈が起きる、電解質が狂うなどいろいろあります。
ですから、入院してゆっくりとカロリーをアップしていかなければなりません。
リフィーディング症候群の恐れがある場合は入院が必要になります。
リフィーディング症候群の動画
• 第二部各論 第1章9節 リフィーディング症候...
■通院治療
入院ではない治療の場合は、「カウンセリング」と「薬物治療」の2本柱で行います。
薬物治療だけで治療を行うのは難しく、基本的にカウンセリング的な治療も必要です。
カウンセリングは心理士さんがやるのか看護師さんがやるのか、あるいはドクターが行うのか、その施設のキャパシティや能力によって変わります。
カウンセリングに加えて薬物治療も行いますが、薬物治療はリスクもありますので個々の患者さんによります。
■カウンセリング/心理療法で行うこと
・正しい栄養知識
カウンセリングや心理療法(サイコセラピー)では、どのような対話によって癒していくのかというと、まずは「正しい栄養知識」をつけることから始めます。
人間が生きていくためにはどれくらいのカロリーが必要なのか、バランスの良い食事とは何か、ということを身につけます。
摂食障害の人は病気ということもあり、変な知識を持っていたり誤解をしていたりすることもあります。
芸能人の人でも「わたし、これしか食べていません(サラダだけ)」などと公表していることもありますが、実際はそんなことはありません。
また、写真を共有するSNSでは写真を加工しています。
それが本当の姿だと勘違いしていることもあるので、そういったことを治していきます。
・ボディイメージの歪み
やせているのにまだ「太っている」と思っていたりします。
やせているのでこれ以上やせてはいけいない、標準体重は太っているわけではないといったことを話します。
・「やせ」を手放す不安・後悔
もう少し治療が進むと、本人の「やせ」を手放す不安や後悔を語ります。
やせることで頭がいっぱいで、青春時代の何年かをそれだけに費やしてしまった。
友達関係よりもやせること、勉強よりもやせること、遊ぶこと・学ぶことよりやせることに集中してしまった。
努力の末に手に入れたものなので、手放すのが不安なのです。
苦労してやせているのです。
何も好き好んで食べ物を我慢しているわけではありません。
我慢している彼ら彼女らは食べ物に興味があるのです。
我慢すればするほど興味はある、だけどそれを根性で我慢しています。
その根性で手に入れた「やせ」を手放すのは相当不安です。
我々が考える「ちょっとくらい良いじゃない」は、彼らにとっては「ちょっと」ではなく、努力の成果なのです。
ボディビルをやっている人が少し腕を太くするのと同じ話です。
それを共有してあげなければなりません。
そして、「時間を失ってしまった」という後悔があります。
自分の人生の何年か、何分の1かをそれに費やしてしまったことの後悔を共有していく必要があります。
それは取り返しのつかないものもある部分ではあります。
取り返しはつきますし、良くなった後に「あんなこともありましたね」と言えるのですが、治療中はそこまで思えません。
失ってしまったことは事実ですから。
そういったことも共有していきます。
また、「やせ」を手放した後、やせることに集中していたので、人生のやりがいや目的があまり考えられていなかったり、年齢不相応だったりします。
ですからこういったことも一緒に考えたり、見つけるのを手伝ったりします。
・きっかけ?
そもそもなぜ彼女らはやせなければいけなかったのか、ということも考えなければなりません。
家族の問題、虐待があったのか、母子密着なのか、甘やかされていたのか、友人関係がうまくいかなかった、発達障害がベースにあるのか、知的な問題があったのか、過度な負けず嫌いで許せなかったのか、そういった「きっかけ」を見つけていって、生きづらさを取ってあげることが必要です。
虐待の問題があるならばトラウマの治療をしないといけませんし、母子密着があり母親から自立できない・寂しいという思いがあるならば、自立の手伝いをしなくてはいけません。
発達障害の問題があるならば、生活スキルの支援や発達障害の治療もしなければなりません。
負けず嫌いが強いのであれば、妥協することを一緒に覚えていく、白黒思考では生きていけないということを知っていきます。
概要欄続きはこちら(字数制限のため)
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『精神科医がこころの病気を解説するChとは?』
一般の方向けに、わかりやすく、精神科診療に関するアレコレを幅広く解説しています。動画における、精神分析や哲学用語の使用法はあくまで益田独自のものであり、一般的(専門的)な定義とは異っているところもあります。僕がもっとも説明しやすいとたまたま感じる言葉を選んだだけなので、あまり学術的にとらないでいただけると嬉しいです。
早稲田メンタルクリニック院長 益田裕介
『自己紹介』
益田裕介
防衛医大卒。陸上自衛隊、防衛医大病院、薫風会山田病院などを経て、2018年都内で開業。専門は仕事のうつ、大人の発達障害。といいつつ、「なんでも診る」ちょっと変人よりの町医者です。
趣味は少年ジャンプとお笑い。キャンプやスキーに行きたいです。
2020年6月5日より断酒継続中。
【参考】
厚労省みんなのメンタルヘルス www.mhlw.go.jp/kokoro/
カプラン 臨床精神医学テキスト第3版
倫理規定について note.com/mentalyoutubers/n/nb...
【コメントについて】
・コメントは承認制です
・コメントは益田が目を通していますが、手が回らず、質問にはお答えできません。ご理解よろしくお願いします。
・(のちのち)自分や他人を傷つける可能性のあるものは承認されません
・他の人への返信も原則禁止です。共感的なもの、相手に役立つものは一部、許可しています。短い時間で判断しているので「どうしてこれがダメなの?」みたいなものもあると思いますが、それはこちらのミスであることも多いです。ご了承ください。
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14歳から拒食、過食、過食嘔吐の摂食障害で、20年間、10キロ単位で体重が増減し、借金をしてまで食べ物を買って吐いてがやめられませんでした。精神科も痛院したり、内科で食欲抑制剤を処方された事もありますが、治りませんでした。妊娠出産、育児を通して、自分が抱えてきた問題と向き合い、現在47歳ですが、完治しています。体重は摂食障害の頃より20キロ増えていますが、今の自分が好きです。太った自分も好き、それも私だ。と、心底感じられた時に、私の中で、治ったんだと思えました。沢山の時間とお金と健康を失いましたが、それがあって、何とかバランスをとって生きてきたのだと、全て受け入れています。結局、30年以上かかってしまいましたが、泣きながら食べ物を詰め込んで、吐き出す生活から解放される事は無いと半ば諦めていましたが、生きているうちに完治出来たことは奇跡みたいに感じます。完治する事はあるよ!と、必要な人に届けたくてコメントしました。
女性が見た目で判断される限り絶対に無くならない
多分受診している人は少なくても患者は多いと思います。
摂食障害の娘を持つ母親です。医療機関もカウンセリングもかかっていますが、発症して7年。医療にかかわって4年。社会生活が営めない生活が今後どのくらい続くのか不安しかない毎日です。こんなつもりで育てたわけではなかったのに、母親の接し方が娘に合ってなかったと言われて、私自身も辛い日々を送っています。どんな心の病も同じだと思いますがなかなかすぐによくなるものではないと思います
治らなすぎてもう疲れました〜🤣
カレン・カーペンターを思い出します
15歳ごろから約10年間制限型の摂食障害でした。薬学部での勉強が楽しくなり、目指していた大学院にも進むことができ、ハードな研究活動に身を置くうちに、食べないと体力がもたないこともあり、いつのまにか体重を気にしなくなっていました。確かに負けず嫌いな性格で、痩せていること以外で自分に自信がもてることができたことが治ったきっかけかなと思っています。
高校生から過食嘔吐で現在20歳完治してません。お母さんにはバレてるけど 「やめなきゃ死ぬと思えば辞めれる」とか明らかに嫌な顔されたりされるのが本当に辛い。うちの親族は住んでる距離が全員近いから頻繁に会うんだけど日本人特有の「太った?痩せた?」みたいな会話毎回されるのも嫌だし 「○○(私)が太ったら外で歩いても他人のフリする」って伯父に小さい頃から言われてるこの言葉が呪いのようになってて治る気がしない。
私も高校生の時に病院へ連れていかれて「拒食症」と診察されました。その先生は親も横にいたのですが「よくやったね|というようなことを言われ、一緒に来たシングルマザーの母はなぜかその先生に敵意を持っていましたその後。
肯定している訳ではありませんが、自分も15年程摂食障害で悩み苦しんだので(今も少しだけ)、薬物やアルコールといった他の物質依存の方のスイッチが入りコントロール不能になる心境やその後の自己嫌悪、鬱状態の辛さがよく分かります。多くの方が自分らしく胸を張って堂々とそのまんまの自分で健康で幸せに生きられるようになるといいなと強く思います。
★諦めないでね★
私は今現在、神経性やせ症の過食排出型です
過食嘔吐になり約3年。主治医には「バランスの良い食事を」や「吐かないように頑張ろう」と言われ、「それができないから苦しいんだよ 」と思ってしまいました。
太る位なら死んだ方がマシだって心から思うのに、多少太ってたり平均の子が楽しそうに食事してるのを見るとその生き方そのものが羨ましくなるのも本心。
益田先生こんばんは。先生にお世話になった日々が蘇る動画です。自分は発症からもう10年近く摂食障害の症状の根本は手放せていません。あの時の主治医の言葉通りの10年になってしまいました。
今は寛解していますが、5年ほど拒食と過食嘔吐に苦しんだ者です。
命かけて頑張ったみたいなものを手放すって、全てを失いそうで怖いですよね…
20分近いボリュームたっぷりの解説嬉しいですね。
コロナ禍きっかけで糖質制限ダイエット始めたら
摂食障害の方の気持ちが分かります。キレイになるために私も痩せたいです。自分を追い込みがちな性格のため、私も摂食障害になる危険を意識しています。高校時代までスポーツで体重管理されてた経験からも。視野を広げて、色々なものの見方、自分の見方ができるようになる、精神的に成熟することが大切なのでしょうね。