第1276回「佐々木閑先生に学ぶ」2024/7/5【毎日の管長日記と呼吸瞑想】| 臨済宗円覚寺派管長 横田南嶺老師

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  • čas přidán 3. 07. 2024
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    ■管長日記「佐々木閑先生に学ぶ」
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    最後に一日のはじまりを整える、呼吸瞑想がございます。
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    平成七年、西暦でいうと一九九五年、三月二十日のことは今も忘れません。
    日本中が、震撼した事件のあった日でありました。
    当時私はまだ円覚寺の修行道場で修行をしていましたが、それでもこの報道は耳に入ってきたものです。
    地下鉄サリン事件でした。
    オウム真理教の信者達が、地下鉄の五つの箇所でほぼ同時にサリン散布したのでした。
    サリンは、もともとナチスドイツが開発した猛毒ガスです。
    ドイツは実際には戦争では使わなかったものでした。
    それが、平成の日本で、使われたのでした。
    事件直後の死者は十二名、負傷者は五千五百人以上という恐るべき事件であります。
    はじめは何が起ったのか分からなかったのでした。
    ただ「なにかたいへんなことが起きている」という恐ろしい思いをしたものです。
    それが、なんと宗教団体が起した事件だったのです。
    あれからもう来年で、三〇年になるのです。
    今私のところの修行道場にいる者のほとんどは、この事件の時にはまだ生まれていません。
    あの事件の恐ろしさを知らずに育っています。
    もっともそれが悪いことではありませんし、自然のことであります。
    私なども戦後の生まれですから、あの戦争を直接知らないで育ったと言われたものです。
    修行僧達とはいつもよく勉強会を開いていまして、何か学びたいことはないかと聞いた時に、オウム真理教事件について勉強してみたいという声が聞かれました。
    私も何かに触れてオウム真理教のことを話すことがあります。
    修行僧達は、もう地下鉄サリン事件のことも知らない世代なのだと改めて思いました。
    そこでどうしようかと考えました。
    私も自分なりにこの事件についてはいろいろ調べていますので、自分でしゃべってもいいかなとも思いました。
    しかし、頭に浮かんだのは佐々木閑先生でありました。
    佐々木先生もまた折に触れてオウム真理教について言及されることがございます。
    佐々木先生のお願いしてみようと思ったのでした。
    そこで佐々木先生にわざわざ私たちの勉強の為にお越しいただいたのでした。
    午前と午後四時間以上にわたってご講義をいただきました。
    オウム真理教事件だけでなく、日本の仏教と戦争について、そしてただいまの禅宗の問題点、今後の仏教の課題などについて、学んだのでした。
    円覚寺の塔頭には坂本弁護士のお墓があります。
    今はもう坂本弁護士といっても通じなくなりつつあります。
    これが、オウム真理教が殺人に手を染めた最初だったのでした。
    オウム真理教被害者の会の坂本堤弁護士の家族を皆殺害したのでした。
    一歳の男の子もいたのでした。
    これはまだ平成元年、一九八九年のことです。
    松本サリン事件が平成六年一九九四年でした。
    六月二十七日に起きた事件なので、先日でちょうど三十年になりました。
    長野県松本市でサリンを噴霧して、八名が死亡、六〇〇名以上が負傷した事件です。
    オウム真理教の思想に「ポア」というのがあります。
    恐ろしい考えであります。
    自らの教えこそが正しいと信じる者は、自分たちの教えを阻害するものは、悪業を重ねるのだと考えます。
    悪業を重ねて不幸になるのだから、悪業が少ないうちに、これ以上悪業を重ねないように今のうちに殺してあげる方がいいというのです。
    そうすれば自分自身の悪業により地獄に堕ちるのを防ぐだけでなく、より高い世界へ転生させることができるという教えです。
    そしてこの世にオウムの理想の世界を実現しようとしたのでした。
    その理想を妨害するのは、今の日本国だと考えて、霞ヶ関を狙ったのでした。
    宗教が自分たちの理想の国を作ろうしたのは、日本では過去にもありました。
    佐々木先生は一揆の考えは同じようなものだと指摘されました。
    「一向一揆」です。
    『広辞苑』には「室町末期、越前・加賀・三河・近畿などで起こった宗教一揆。一向宗の僧侶や門徒が大名の領国制支配と戦った」と書かれています。
    「加賀の一向一揆」とは、「室町末期、加賀国の本願寺門徒の一揆。
    1488年(長享2)、加賀国守護富樫政親を攻め、これを同国高尾城で自殺させた。
    以後およそ90年にわたって加賀は「門徒持ち」の国となった」(『広辞苑』)ものです。
    門徒領国とも言われたものです。
    またこれは後にアジアに天皇が統治する王道楽土を作ろうとした考えにも通じるところがあるのです。
    宗教には聖戦という考えがあったのです。
    宗教的な迫害や外敵との戦いなどに対して武力を行使するというものです。
    心の内にある邪悪な煩悩を殺すという考えはもとにあったのですが、それを外部にも実際に行おうという理論です。
    オウム真理教の事件は、単なる一宗教の問題だけではないのです。
    オウム真理教事件の裁判は七年以上もかかりました。
    そして平成三十年、二〇一八年に麻原彰晃こと松本智津夫をはじめ一三名が死刑となったのでした。
    その中には、私の大学の同級生がいました。
    あの事件には、私と同じ年代の者が多く関わっていました。
    私の同級生とはいっても、学部も違うので全く面識はありません。
    ただ同じ年に生まれ、同じ時に同じ大学で学んでいたのでした。
    彼は、優秀な科学者であったらしいのです。
    彼がいなければ、あのサリンという猛毒を作ることはできなかったとも言われています。
    純粋な青年だったそうで、この世の矛盾について悩み苦しみ、麻原という人物に出会ってしまったのでした。
    オウム真理教事件のあった頃に、松原泰道先生は、とある講演会で、
    「私はオウム真理教のことを批判する前にあの前途有為な若い人達に申し訳ないと思う。
    あの前途有為な若い人たちがなぜ道を外れてしまったのか、批判をする前に、私自身が仏教の正しい布教ができなかったということを申し訳なく思うのです」と語られたことが忘れられません。
    佐々木先生のご講義を聴きながらそんなことを思っていました。
    修行僧たちには初めて聞く衝撃的な話もあったと思います。
    いろいろ学んでおくことは大事であります。
    佐々木先生には心から感謝しています。
     
     
    横田南嶺
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    #管長日記, #呼吸瞑想, #毎日更新

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