「活写」活版印刷 文字の凹み 満ちる希望
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- čas přidán 12. 05. 2024
- 棚に並ぶ活字の数々。ピンセットで、木の受け皿に拾い取るたびに「コトン」と心地良い音が響く。紙の持つ魅力を最大にいかすのが活版印刷だ。厚みのある紙に凹凸をつけたり、文字の輪郭が滲(にじ)んだりと、味わい深い表現で、根強い人気を持つ。
最新のオフセット印刷とは一味違う活版の美しさを伝える印刷会社「山添」。昭和43年の創業で大阪市城東区に本社を置く。活版印刷や「イロムラ印刷」と名付けた軽オフセット印刷など個性ある技術にも力を注ぐ。
会社を率いるのが、社長の野村いずみさん(52)。創業者で父でもある常夫さんの遺志を受け継ぐ。デジタル印刷の発明や2度の震災などの危機にも立ち向かう。
平成7年の阪神大震災では、約40万本ある活字の約1割が床に落ちた。散乱する活字を見ていずみさんは「これで活版をやめると思ったのに、父は棚に戻すと言うんです」と振り返る。
再び使うかもわからないまま、仕事終わりに3、4時間の作業を半年以上続けて棚に戻した。その後、「置いといた方がいいよ」と見た人に言われることはあってもほぼ使うことはなかった。
転機は平成21年に訪れた。イベントのちらしで「文字が凹(へこ)むくらい強く押して」と依頼される。
「そんなことしていいの?印刷物としてダメじゃないの?って思いました」。裏面に影響しないようにインクだけを紙に乗せる技術を追求してきたのとは真逆の価値観が、活版印刷に力を入れるきっかけに。
平成30年3月、多くの人に活字に触れてもらおうと、印刷を体験できる店舗「THE LETTER PRESS」を開店。「印刷屋として活字があることが誇りになっていました」といずみさん。
その矢先の6月18日、大阪北部地震で再び被害を受ける。20万本以上が床に散らばり、あまりの量に戻すことが考えられなかった。
棚に残った活字も、使うことも捨てることもできず、箱に集めただけになっていた。社員がそこから1本引いて“今日は何々〜“と漢字をおみくじのように使っているのが目に留まる。落ちなかった活字が「おみく字」に生まれ変わった。
文字数が少ない数字や平仮名、アルファベットは、体験印刷やカレンダーなどの商品を作るのに今も活躍。「受け継いだ活版印刷を通じてもの作りの楽しさを若い人たちにつないでいきたい」。古いとされた凹んだ文字への希望が膨らみ続けている。
昔の技術も残して欲しい😃
活版印刷はそのプロセスに価値があると思っています。
昔の技術は現在記念品となった。